夕暮れの遊園地。

子供を連れた親子連れはもう帰宅を急ぐ時間になろうとしている。

子供は『まだ遊びたい』と言い。

親は『もう帰る時間だよ』と言う。

それは平和な親子の営み。

やがて少し眠くなった子供は親に背負われて残念そうに遊園地を後にする,子供達の騒ぎ声を少しづつ

消しながら。

そして、一つの時間の終わり。

でも遊園地はまだ閉園したわけではない。

遊園地はこれから親子向けの時間から、若い恋人同士の時間へと変化していく。

真っ赤な夕暮れに照らされながら。




Lemon taste

華王



そんな夕暮れの中、私はシンジと一緒に観覧車に乗ってた。

二人は向かい合いながら、夕日に照らされた園内を珍しそうに眺めている。

そして私達が乗っている観覧車のゴンドラが一番上に近づいたとき。

なにか約束していたみたいに二人は見つめ合うと、唇をそっと重ね合わせた。

ファーストキス。

始めてのキス。

今まで本を読んだり、映画を見たりして憧れていた。

登場人物達がキスをするたびに、私をその人に重ねてみたりしてた。

少し怖い気持ちもあったけど・・・でも心の中でいつも憧れていた。

寝る前にぬいぐるみでキスの練習をしようとした事もあった。

でも、唇を合わせる前に怖くて止めていた。

なんか自分が今までの自分ではなくなる気がして。

でも・・・いつかは愛する人とすると想っていた。

そして、私は今日シンジさんとキスをした。

それは少しレモンの味がした・・・・



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