芦ノ湖を望む高台に花束を抱えた一人の青年が立ってる。

そしてその青年の前に一つの墓標があった。

青年は手に持っていた花束を墓標に捧げると静かに語り始めた。


Evangelion 2nd Impression Side Story
もう一つの結末
華王




「久しぶりだね山岸さん、もうあれから10年もたったんだね。」

青年はそこでいったん言葉を区切ると視線を墓標から芦ノ湖へと移した、そして芦ノ湖を眺
めながらまた静かに語り始めた。

「山岸さんはもう見飽きてるかもしれないけど、僕はこうして芦ノ湖を見るのてもう10年
振りくらいなんだ。
たぶん山岸さんと一緒に芦ノ湖に来た時以来なんじゃないかな?
恩賜公園に二人で行った時に、山岸さんが湖をみて喜んでたのがいつも湖を見慣れてた僕に
は解からなかったけど、こうして見ていると何故だかその時の山岸さんの気持ちが解かる気
がするよ。」

そして青年は芦ノ湖を見ている目を微かに細めた、そして墓標に背を向けるとさらに話を続
けた。

「でも出来ればもう一度でいいから山岸さんと芦ノ湖に行きたかったよ。」

そして墓標の方に振り返った青年の目には微かに涙が浮かんでいた。

「だめだね、今日は山岸さんに報告するために来たのに違う話しをして逃げようとしてるよ。
・ ・・・そろそろ本題に入るね。
山岸さんが使徒から僕らを守るために死んでから、僕はある事に気が付いたんだよ。
それはね山岸さん、君の事が好きだった事なんだよ。
あの時、僕の腕の中で冷たくなっていく山岸さんを抱きしめていて初めて始めて気が付いた
んだよ。
でもその時僕はボロボロと涙を流す事しかできなかったけど、そんな僕に山岸さんはこう言
ってくれたよね。
『人の想いは言葉にしないと伝わりませんよ。』て。」

青年はそこで瞬きを数回するとさらに続けた。

「あの時はその言葉の意味が解からなかったんだ。
それに山岸さんが死んだあと、僕はしばらく心の殻に篭っていたしね。
・ ・・・・そしてそんな僕を救ってくれたのがアスカなんだ。
始めは僕の事を構うアスカの事を、同じパイロットだからとか、同じ同居者だからとしか思
ってなかったんだよ。
でもね、ある日僕は見たんだよ。
あんな強気のアスカが、自分の部屋で僕の事を思って泣いているのを。
その時初めて気が付いたんだ、山岸さんの最後の言葉の意味と僕のアスカの事も好きだって
気持ちに。
次の日、アスカにその僕の想いを告げたんだ。
そしてたらアスカがね『まさかバカシンジから告白されるとは思わなかったわ』だって。
いかにもアスカらしいよね。
でね、二年前にアスカと結婚したんだ。
山岸さん、皆に祝福された結婚式だったよ。
結婚式の時ねウェディングドレスを着たアスカがとても綺麗で、しかもアスカが始めて人前で
初めで涙を流したんだよ。
父さんや、リツコ継母さんや、ミサトさん、レイ、トウジ、ケンスケ、洞木さん皆に祝福された結
婚式だったよ。
でも、もしかしたら僕の隣りに立っていたのが山岸さんだったのかもしれないね。
そして結婚式から一年後、僕らの赤ちゃんが産まれたんだよ。とても可愛い女の赤ちゃんな
んだ。でもね今でも僕がパパなんてなんか自分でも実感わかないけどね。
そしてその子供にマユミて名前を付けたんだ、アスカが嫌がるかな?て思ったけどアスカも
女の赤ちゃんが産まれたらそうしようて、決め手たんだって。
それで今日山岸さんにそのマユミを合わせようと思ってここまで連れて来たんだ、今は車の
中でスヤスヤと寝てるけどね。
ホントはアスカも一緒に来ようと思ったんだけど、今二人目を妊娠中だから大事を取って来
るの止めたんだ。
じゃあ山岸さん今、マユミを連れてくるから少し待っててね。」

そう言い残すと青年は、いや、一人の父親が墓標から娘の待つ車へと走り始めた。






・後書き
ふう、これも一つの結末でしょうかね?

まあこんな事になる可能性もあったわけですから。

たぶんアリでしょう。

ここのHPてアスカが可哀相て言われてるみたいなので少しアスカを幸せにしてみました。

でも短いな〜

あと、おちさんのとこに投稿したので夢空間でも読む事ができます。

では。

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