父の日
華王



「え〜ですから昭和55年6月12日に当時内閣総理大臣だった大平正芳は死去したのです

が、その後次期総理大臣が決まるまでの臨時代行をしたのは誰でしょうか?

え〜今日は奇数の日ですので、出席番号からして、三番の碇シンジ君に答えてもらいましょ

うか。」

「あ、はいっ。」

僕は授業をちゃんと聞いてなかったので少しあせっていたと、そして少しこの授業に疑問に

思っていたので変な返事になってしまった。

『今、数学の時間だよな・・・・・・・』昼休み前の4時間目、確かに数学の時間。

そして教師も数学の教師、それなのになぜか現代社会の質問を出されている。

『・・・・・こんな問題わかんないよ・・』

僕にはいくら端末の画面を見ても答えが解からない・・・・

アスカに教えてもらおうと思って後ろお向いたら、寝たふりをしてるのが見えた。どうやらアスカも

解からないみたいだ。どうしよう、僕は途方にくれた。

「少し難しいようですね、では四択にしましょう。」

それを感じ取ったのか、教師が助け船を出してくれた。

『昭和55年6月12日に当時内閣総理大臣だった大平正芳は死去したのですが、その後次期

内閣総理が決まるまでの臨時代行をしたのは誰でしょう。

a.伊東 正義

b.鈴木 善幸

c.福田 赳夫

d.三木 武夫』

どうですか?碇シンジ君。」

「は、はい、え〜っと…。」

四択になったけど答えが解からくて僕が迷っていると、端末にメッセージが送られてきたのが見えた。

「ん?」

「答えは よ。」

画面で顔を隠しながら周りを見回すと、ななめ前の席からこっちを見て微笑んでいるマユミ

さんと目が合った。

僕はマユミさんに感謝しながら、迷わずa.を入力した。

「おお、正解です。よく勉強してきていますね。」

「はあ」

一息つくシンジ。

僕はマユミさん向かって片手で拝む真似をする、それに対して彼女は微笑みながら小さく手

を振ってかえした。

「・・・・・・のため、選挙に勝ったわけです。」

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン〜♪

老教師の話が一段落した所で丁度チャイムが鳴った。

「え〜ちょうど時間ですね、それでは今日はここまでにしましょう。

では、洞木さんお願いします。」

「はい、起立!礼!着席!」

先生からそう言われると洞木さんが号令をかけて授業が終わった。



退屈な授業も終わり、僕達はお昼ご飯を食べるために一個所に集まった。

メンバーは僕とアスカ、綾波、マユミさん、洞木さん、ケンスケとトウジのこの7人で昼ご

飯を食べるのがマユミさんが転校してきてからの日課になっている。

「さ〜て、めしやメシ。ほんまにこの時間のために学校来てるも同じやな〜。」

「す〜ず〜は〜ら〜!」

「なんや、委員長。べつにかまへんやないけ。うそやないんやから。」

食事が始まると、いつものトウジと洞木さんとの掛け合い夫婦漫才が始まる。

当人達に言うと、真っ赤になって否定するけどね。

僕たちはそれを横に見ながら雑談しながらお昼を食べる。

僕はお弁当を食べながらさっきの事を思い出してマユミさんにお礼を言う事にした。

「マユミさん、さっきはありがとう。いつも教えてもらってばかりでごめんね。」

「いいですよ、シンジさんそんなたいした事じゃないんですから。」

「でもなんかすまないね、いつかお礼をしないとね。」

僕が言うととマユミさんは少し考えこんだよだった、そして考えがまとまったのか少しすま

なそうな顔をして、僕の目をみながら。

「じゃあ、お礼に放課後チョットつきあってくれませんか?」

と少し子悪魔的にお願いをしてきたのだった。

「うん、僕はいいけどなんで?」

「・・・それは秘密です。」

マユミさんは少し微笑みながそう答えた。

僕は心のなかで天使みたいだなと思っていたが、一方で後ろからの刺すような視線を気にし

ていた・・・・・

『帰ったら大変だろうな・・・・・』

と、アスカの視線を背中に浴びながら心の中で思った・・・・・・・



・ ・・・その日の放課後、僕とマユミさんは駅前にあるデパートの紳士服売り場に来ていた。

そういえばマユミさんとこうやって2人で歩くのて初めてだな、いつもは他に誰かと一緒に

いる事がほとんどだからな。

この前はアスカと洞木さんが一緒だったし。

その前はケンスケとトウジだったな・・・・・

そんな事を思っているとつい口にだして言ってしまった。

「ねえ、マユミさん。」

「はい、なんですシンジさん?」

「こうして2人で歩くのてなんだか始めてだね。」

「そ、そうですね。」

そう言うとマユミさんは真っ赤になって俯いてしまった。

それを見て僕は素直にかわいいと思った。

確かにマユミさんは、アスカや綾波みたいに強く人を引き付ける美しさじゃないんだけど。

典型的な日本の女性の可愛さをかもしだしている。

それに比べると、アスカと綾波の2人はどちらかと言うと人形なうつくしさなんだなと思う。

ミサトさんや、リツコさんはどちらかと言うと大人の女性といった感じがするし。

一番近いのは感じが似ているのはマヤさんかな?

でもマヤさんはなんとなく親しいお姉さんて感じかな。

僕はそんな事を思っていた。



「実はシンジさんに選んで欲しい物があるんです。」

「え、選んで欲しい物?」

「はい、もうすぐ父の日ですからお父さんにネクタイでも贈ろうかとおもいまして、

それでシンジさんに選ぶのを手伝って欲しいんです。」

「うん、いいよ。でも偉いねちゃんと贈り物をするなんて。」

「そ、そんな事ないですよ・・・・とうぜんのことですから・・・

シンジさんは送らないのですか?」

「うん、僕はいいよ・・・・もらってくれないと思うし・・・・」

「すみません、なんかよけいなことを言ったみたいで。」

「いやいいんだよ、別に悪気があったわけじゃないんだから。」

「でも、ほんとにすみません。無神経で。」

マユミさんは僕の前で必死になって謝っていた、そんなに謝ることないのに。

「いいよ、マユミさんそんなに気にしてないから。」

「そ、そうですか。」

「うん、だからもう行こう。」

「はい。」

こうして僕らは再び歩き出し、紳士服売り場にたどり着いた。

紳士服売り場には『父の日記念セール』として一区画をまるまるセール専用として使ってい

たのでそこでプレゼントを決める事にした。

「あんまりいいのないね。」

「そうですね。」

僕らはざっとコーナーを見たがあまりいいのが無かった。

しょうがないの僕らは少し値がはるがブランド物のコーナーに行く事にした。

ブランド物のコーナーはさすがにいい物がそろっていてマユミさんはなんとか

気に入った物買う事ができた。

もちろん僕の意見も参考にしてだけど。

「よかったね、気に入る物があって。」

「はい、でも・・・・父が気に入るかどうか・・・・」

そお言うマユミさんは、少し心配そうな顔していた。

だから僕は元気ずけるように言った。

「大丈夫だよ、きっと気に入ると思うと。それに気に入らなかったら僕のセンスが悪かった

だけだから。」

「そんなことないですよ、シンジさんに選ぶの手伝ってもらっていいのを買えたんですか

ら。そうだ、シンジさん気に入ったネクタイありませんか?」

「え、ネクタイ?う〜んこれなんかいいと思ったけど。」

僕が手にしたのは、薄い紫を基調としたチェック柄のネクタイだった。

「これですね。」

と言うとマユミさんは、僕の手からネクタイを取ると受付に行き会計をすませ奇麗にラッピ

ングをしてもらうと、「さあ、行きましょう」と先に行ってしまった・・・・・

なんだろう・・・・・

心の中でそう想いながら僕は素直に後をついて行った。



僕らはデパートを後にすると少し休むために近くの喫茶店に入った。

「シンジさん今日はありがとうごさいました。これは今日のお礼です。」

取り出したのはさっき僕が手にしたネクタイの入ったラッピングされた小さな包みだった。

「それって。」

「はい、さっきシンジさんが気に入ったて言ったのです。ホントは自分で選んでお礼を

したかったんですけど・・・・・それだと気に入ってもらえるかどうか解からなかった

で選んでもらったんです・・・・」

「ありがとう、うれしいよ。」

「うれしいです、喜んでもらえて。」

「うん、僕はプレゼントをもらったの初めてなんだ。」

「そうなんですか?」

「うん・・・。前の学校には友達がいなかったから。」

「なら私達友達ですね。」

「うん、そうだね。」

「でも、恋人のほうが・・・・・」

「え?マユミさん、なんか言った?」

「いえなんでもありまん。」

「そうだ、お礼にここの清算僕にさせてよ。」

「いいんですか?」

「うん、ネクタイ代に比べたら安いけどね。」

「そうだ、私も人におごってもらうの初めてなんですよ。」

「よかった、初めてなのが僕だけでなくて。」

「そうですね。」

「「ハハハ」」

そう二人で一緒に笑った後、僕マユミさんを自宅まで送って行った。

そして、家に帰るとアスカが鬼のように怒っていたのはまあ何時ものことだった。

それから小一時間ほどアスカに絞られたあとミサトさんが帰ってきて晩御飯にする事にな

った。

「シンチャンおいしいわねこのボルシチ、ねえアスカは食べないの」

ミサトさんはおいしそうにボルシチを食べながらアスカに話をふる。

「まあまあね。」

「どうしたのアスカご機嫌斜めね。シンチャンが浮気でもしたの?」

「なあなに言ってるのよミサト、そんな事あるわけないでしょう。」

「そう、ならいいけど。そうだシンチャンそれなに?」

そう言ってミサトさんが指差したのは、今日マユミさんに貰ったラッピングされた小さな包

みだったもちろん中身はネクタイが入っている。

「いや、そのこれはマユミさんにもらったんです。中身はネクタイなんですよ。」

「シンチャンもやるじゃない〜ネクタイを貰うなんて、プレゼントでネクタイを貰う意味は

解かってるわよね。」

「え?ネクタイをプレゼントされるのって意味があるんですか?」

「あらシンチャン知らないの。それはね『あなたにに首ったけ』て意味よ。」

ミサトさんはそういうとニタ 〜ト薄笑いを浮かべた。

一方僕はへーそうなんだ、でもマユミさんならいいかなと考えていた。

もちろん前から感じる好奇の視線と、隣りから感じると殺意に脅えながら・・・・・





後書き

どうも華王です。

めでたく当山岸 マユミ補完委員会も3000HITを迎える事ができました。

これも皆様のおかげです。

さてこのLMSですがホントは父の日にUPする予定だったんですが、

忙しくてUPできなくてボツになった物をサルベージした物です。

それを一部修正してリニューアル版をHIT記念でUPする事にしました。

あとCROWさんのとこにも投稿したのでそちらでもお楽しみいただけます。

でも一部違いますが。

(でもLMSだとマユミ・マナ・マヤ・ミサトて対象が4人もいるな・・・・)



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