「知らない天井か・・・この部屋は・・・・始めてだな・・・・」
さっきから僕は目を覚まして天井をずっと眺めていた、そして思わずそんな言葉が出て来た。
ここはジオフロントにあるNERV専用の病院、部屋のナンバーは303号室。
僕は昼らずっとここにいる、でもなぜここにいるんだろう?
一人でそう自問してみる。
始めはこんな事になるなんて考えもしてなかったのに・・・・
なぜなんだろう?
そんな事を考えながらさっきからずっと天井を見ている。
クシュン
夜になって冷えてきたのかクシャミをした。
裸で寝てたから風邪でも引いたかな、と思いながら。
僕はゆっくりと上半身をベットから起こした。
そして恐る恐る隣りを見る。
そこには一糸纏わぬ姿で横たわっている一人の美しい女性がいる。
そう僕が眠りに落ちる前に欲情の捌け口にして、少女から大人にした女性が。
やっぱり夢じゃなかった・・・・
その時僕は、みずから起こした行為によって深い後悔と罪悪感に苛まれていた。
最低だ・・・・俺って・・・
でもいくらその咎を悔やんでも消えはしない。
一人の少女を自分自身の欲情の捌け口にしたのだから・・・・
欲情
華王
ジオフロントにあるNERV専用の病院の303号室。
そこは普通の人はもちろん一般の職員も普段は立ち入ることのできないエリアにあった。
そしてその病室の前に一人に少年が佇んでいる。
長い間そこに立ち尽くしている少年の表情はかなり沈んでいる。
その少年はしばらく病室の前で立ち尽くしていたが、意を決したのか躊躇いがちにドアを
ノックした。
「アスカ、入るよ。」
でも、その声に部屋の主からの返事はなかった。
もし、あったとしたら少年は病室に入ることなどできなかっただろう。
少年は静かにドアを開けるとそっと病室に入りこんだ。
その病室には、多くの医療機器が刻む規則正しい音だけが鳴り響いている。
そして部屋の主は、何時醒めるともしれない深い眠りについている。
まるで眠れる森のお姫様のように・・・
でもその姿は眠れる森のお姫様よりも美しいだろう。
その少年つまりシンジはもしかしたらKISSでもしたら起きるかな?とくだらない事を
考えていた。
でもシンジはこの病室に来た事を思い出しベットの隣りにある椅子に腰かかけると静かに
語り始めた。
「ねえ、アスカ聞いてよ。
もう僕はアスカしかいないんだよ・・・
ミサトさんは最近家に帰ってこないんだ
たまに本部で会っても挨拶するどころか無視して
ひどい時には怒鳴るんだ・・・・
ねえ、アスカどうしたらいいと思う?
そして綾波もなんだ・・・・
今の綾波は僕の知ってる綾波じゃないんだ
三人目なんだ
いったい会って何を話していいのかわかんないよ
もうどうしたらいいんだろう
ねえ、アスカどうしたらいいと思う?
僕はカヲルくんをこの手で殺したんだ・・・
初めて僕のことを好きだって言ってくれたのに
でも僕はこの手で殺したんだ
カヲルくんは、僕の手の中で『さあ、僕を消してくれ・・・』と死を望んだんだ・・・
だから僕は、僕は・・・
だから僕はカヲルくんをこの手で殺したんだ
カヲルくんは、初めて僕のことを『好き』だって言ってくれたんだ
でも僕はカヲルくんをこの手で殺したんだ
もし殺さなければ、僕たちが死んでいたんだ
カヲルくんは、僕が心を許せると思った最初の人だったのに・・・
でもカヲルくんは僕の気持ちを裏切ったんだ
カヲルくんは、使徒だったんだ僕らの敵だったんだ
だから僕はカヲルくんをこの手で殺したんだ
でもアスカなんか変なんだ、あれから何日も経つのに手から血の匂いが消えないんだ
いくら洗ってもぜんぜん消えないんだよ。
ねえアスカどうしたらいい?
ねえアスカ
ねえアスカ
返事してよ、黙ってないでさ
ねえアスカ。」
シンジがアスカの身体を強く揺さぶるとパジャマの前がはだけ、豊かな胸が露になった・・・
「ねえアス・・・・・」
僕はそのアスカの姿を見て、さっきまでとは違うがことが感情が浮かんできた。
それは僕が初めて抱いた、アスカへの欲情だった。
「ア・・ス・・カ・・・」
僕はそう呟くとゆっくりとアスカに覆い被さって行った・・・・
意を決して僕はベットから立ち上がり、周りに散らばっている洋服を集め。
ベットに背を向けて何事も無かったように着替え始めた。
そして着替えが終わり、部屋からでて行こうとしてドアノブに手をかけた時手に血がこびり
付いてに気が付いた。
「今度はアスカの血で汚れたのか・・・・」
そう言ったあと、手に付いた血を舐めた。
「よかった本物の血だ。」
僕はそう呟いた後、薄笑いをうかべた。
その後ドアを開け、何事もなかったように部屋から出ていった。
後には、一糸纏わぬで姿で横たわっているアスカだけが残された。
そして、その姿は人に捨てられたピグマリオンのようだった・・・
第2話 傍観者へ
目次へ
あとがきへ
Ver1.00