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「――― ココですね、私の通う新しい――― 」
「学校っていうのは・・・・・・・・・。」
目の前には、『第三東京市第壱中学校』と彫り込まれた校門がある・・・・・。
ガラ
勢い良く教室のドアが開く。
そこには、紅い髪をした可愛い少女がいた。
クォーターである彼女の青く澄んだ瞳が印象的だ。しかし、今は怒りで炎のように燃え上がっていたが・・・。
「バカシンジ!!アンタなんで起こさなっかたの!!」
「だって、アスカ起こすと『きゃーー!エッチ、痴漢、変態!!』って言って殴るだろ!!」
「あたしが遅刻しても良いと思ってんの!!」
「そんなことは、言ってないだろ!!」
黒いジャージを着てスポーツがりの少年が、二人の痴話げんかを見てボソッと呟くように
「なんや夫婦喧嘩かいな」
二人は、顔を真っ赤にしながら
「「ちがうよ(わよ)」」
からかいのネタを振りまきながら反論する。
それは、いつもと変わらない風景でもあった。
そして、今日も記憶に残るようなことも無く、いつもと変わらない平和な日になるはずだった・・・・・・・・・・。
「今日は、皆さんに新しい仲間を紹介します。」
老教師がそう言うとドアをそっと開け黒髪の可憐な少女が入ってくる。
教壇にたつと一礼し黒板に美しい字で流れるように書いた。『山岸 マユミ』と。
振り返るとと教室中を見渡し
「四国地区、徳島郡から来ました山岸マユミです。」
っとにっこと万人を虜にしてしまう様な笑みを浮かべた。しかし、その微笑みは一人の少年に向いていたが・・・。
セカンドインパクトと第拾使徒「サハクィエル」の一部が当たり四国は、一つの地区として存在していた。
彼女が其処からココ、第三東京市に転向してきてから間も無い頃の事であった。
「あ〜あ、明日やなぁ、ガッコあるんか。しんだいのぅ〜〜。なんぞ、オモロイことないかいな?」
飲みかけていた缶ジュースをゴミ箱向かって投げた。
カコンっと気持ちの良い音を立てて中に入る。
何か良い事がありそうだと、意気揚々にその場を立ち去ろうとしたとき、
「オイ!!」
中に残っていたジュースが掛かったのであろうビシャビシャに濡れ、こちらを睨んでいる。
「ああ、ゴメンなぁ〜。ほんまゴメンなぁ〜。」
そう、言い残すと走って逃げようとしたが回りこまれてしまい逃げ場を失う。
『もうアカン!!何ぞさせられるわ。助けてんか〜』
周囲の人たちは巻き込まれるのはゴメンと無関心を装っている。
しかし、一人の少年―――碇シンジは、違った。
「おおお女の子に、ぼぼっぼ暴力は、いけませんよ」
まるで蚊の鳴くような小さな声で助けてくれた。
マユには、嬉しかった。周りの人たちが助けてくれない中彼は、助けてくれた。体の線は細く、肉体美とは対極に位置する。
そんな少年がである・・・。
えっ・・。何やコイツ、アタイよかめちゃ弱げやのになんで助けてくれたんやろ?
ほら見てみー、殴られたやないか。痛いやろ?なんで逃げへんねん!アタイやったら逃げるでぇ?
ボコボコやないか・・。なんでや?なんでなんや?何でほこまでするんや?
・
・
・
しばらくの沈黙の後、マユミの中で疑問の嵐がピタリっと止まる。
ほうか!!そうやなぁ!!この方がアタイの王子様や!こんなん、アニメしかないと思っとたんやけんどホンマにあるもんなんやな〜ゥ
アアン!!ダァ〜リン〜〜ゥ
妄想からから帰ってきたマユミを待ち構えていたのは、ボロ雑巾になった愛しの(笑)シンジの姿であった。
マユミは、本気で怒っていた。
血が煮えぎる。
息が熱い。
目の前が紅く見える。
ぶちっぶちっ
何か太いロープが切れたような音がする。
「オイ!姉ぇちゃん。ちょっと事務所来てくれるか?」
男は、火のついている爆弾を叩くような事をした。
「こぉんの、ゴロツキが偉そうにいきんなやぁーーー」
マユミ怒りの鉄拳『アタイとダーリンのラブラブぱんち』が男の顔面にめり込む。
「ギャッ」っと情けない声をだすと、捨て台詞を言い捨てて、去っていった。
シンジは、気持ちの良い真っ白な海の中にいた。
それが、マユミの膝枕だと気づくには、そう時間は掛からなかった。
マユミが心配そうにシンジをのぞきこむ。
「あっ。ごっゴメン!!」
マユミが不思議そうに
「何がですか?」
「えっ?えっと膝枕やってくれてるし・・・・。」
顔を真っ赤にし恥ずかしそうに呟く。
マユミは、クスクスと笑い
「迷惑でしたか?」
シンジの前では猫をかぶる事を決めているマユミだった。
だぁぁぁぁありん(?)の前であのような、はしたない言葉を使うわけにはいかない。
「そんな事ないよ。気持ちいいし・・。」
マユミが、濡れたハンカチでシンジの顔を拭く。
『早よ治りや』っと念を込めながら・・・。
一時間ぐらいそうしていたのだろうか、或いは、もっとかもしれないがマユミには、ドウでもいいこと。
この少年の近くにいれる。その事実が、大切だった。
シンジが、ハッと気づいたように
「大丈夫ですか!!」
マユミは、初め何の事か解らなかったがこの少年は、先ほどのケンカで巻き込まれてないか?っと言うものだと理解した。
「はい、貴方が護ってくれましたから・・・。」
本当は、違うのだがマユミにとっては、シンジが助けたてくれたのだった。
ポット頬を紅く染め微笑を返す。
きゃぁああああああああああああああああああ―――ゥ
ダァリィンン、カッコええ―――ゥ
嗚呼、アタイはダーリンに逢うために産まれてきたんやゥ
「あの、あの、あの、モシモシ〜〜?」
アカン、アカンちと飛んどったみたいやな。せっかく、ダーリンから話し掛けてくれたのに勿体無い事するとこやったわ。
「あの、何でしょうか?」
シンジは、言いにくそうに
「あの、ぼく晩御飯つくんなきゃならないんだ。だからもう帰るね。」
「じゃ、送っていてもイイですか?」
男の子、女の子の配役が逆である。
「いいよ。膝枕アリガトウ。」
そう言って、走り去った。名前も聞かず。聞けず。
マユミの中で激しい後悔が渦を巻く。
マユミは、走って家に飛び込んで帰ると国連の偉いサンである父に先ほど巡り合った少年を探して欲しい。
その子の行く学校でないとガッコに行かない、と駄々をこねた。
しかし、マユミの期待は、嬉しい意味で裏切られる。
なんと、数時間で探し当ててくれた。
これは、父のSP達の優秀さでもあるが、今回は相手が余りのも有名だったためだ。
ダーリンに逢える。たったそれだけの事だが、マユミ嬢は興奮して寝付けない夜を送った。
そして、現在に至る。
「山岸さんに何か質問は、ありませんか?」
ガヤガヤとざわめく。二、三人他愛ものない社交事例のような質問が少しあり、教師が席を決めHRはおわる。
転校生の周りに人だかりが出来る。
さすがに、教師の前では聞けなかったことも多く赤裸々なことまで聞いてくる。
しかし、マユミの頭はシンジの事で頭いっぱいになっていた。
HRの始めシンジの顔を見たときから全ての事が上の空であり、委員長――ヒカリの目には嫌がっている様にしか見えない。
「ちょっといい加減にしなさい!!」
蜘蛛の子を散らすようにワラワラと散っていく。
「私、委員長の洞木ヒカリヨロシクネ。」
マユミは、ヒカリに挨拶するももどかしく、「宜しくお願いいます。」そう伝えるとシンジの所に一目散に走っていた。
だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!
だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!
だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!だーりん!!
その事しか考えられなかった。
「碇・・・クンですよね?」
シンジは、何故自分を知っているんだろうと思ったがとりあえず再開を喜ぶ。
「山岸さん、昨日はアリガトウ。」
「そんな、私こそアリガトウ。護ってくれて。」
マユミは、全ての意味を込めてそう言ったつもりだったが、シンジが気づくはずもない。
其処が、シンジたる由縁かもしれない。
そして、マユミが最も気になっていたことを口にする。
「碇クン・・・好きな娘いるの?」
シンジは、なぜか遠くから感じるアスカの視線に怯えながらも
「いないよ?」
っと無難に答えを返す。文末の?が少し曖昧だ(笑)
実は、マユミも「マユミ。君なんだ!!」なんて少し期待していだけに残念だ。
「じゃ、私が碇クンの恋人に立候補しようかしら?」
「えっ・・・・・・「山岸さん、学校を案内してあげるわ付いてきなさい!!」
アスカだ。シンジも「じゃぁボクもいっしょに」と言う前にアスカの物理エネルギーを持っているような
ふいんきに、何も言えなくなってしまった。
なんや。アタイとダーリンの愛の語らいを邪魔するなや!!!
ああぁあん。だーりん、この外人女シバいてくるけん。また話ししよーな。
マユミ嬢は、シンジとの話を良いところで邪魔され不機嫌だった。
人気がなくなったところで、アスカはピタリと足を止め振り返る。
「アンタ、何シンジにイチャついてんのよ!!!」
なんや、コイツ?もしかして、あたいのだーりん好きなんか?
まぁ、だ−りんがモテルんはしゃーないけんど?負けへんでぇ〜。
マユミは、今一番気になっていることを聞いてみた。
「貴方、碇クンのなんですか?」
そう、何故シンジに話し掛けてだけ(?)でこうも言われなければいけないのか。
それが知りたかった。大体は、予想もついていたが・・・・・・。
「なにいってんのよ!!大体アタシはね〜・・・・・・・」
な、なんやコイツはぐらしやがったで!!まぁ、なんや。コイツ、アタイとだーりん嫉妬(や)いとんな。
だーりんがハァハァハァ言う程かーいいんは、みとめたるけんどアンさんには、勿体無いですわ。
だーりんは、アタイが頂きますゥ
おー、おー、なんや睨んできよったでやるんか?
ニヤリってこんなんチャウチャウ!!いかん!はよ頭から消さんと!!
「・・・・って言うか?ちゃんと聞いてんの?ハッきり言いなさいよね!!」
何言ってん?聞いてへんかったけん解るわけないやろ〜。しゃーないなぁ、ココら辺で、一発ガツンと言っといたるか!!
「だーりんは、アタイのもんや!!渡せへんでぇ(怒)」
おっとと、危なー危なーもうちょいで、めちゃ地が出してまうとこやったわ。
「とにかく、碇クンは、渡しません!!」
そう言いきってキッとアスカを睨む。
こうして、山岸 マユミ嬢と、惣流・アスカ・ラングレー嬢の『碇シンジ愛の争奪戦』の火蓋が切って落とされた瞬間でもあった。